はじめに、2010年に日本脂質栄養学会が発表した「コレステロールが高いほうが長生きである」という報告を聞いて、「コレステロールは下げないほうがいいんだ」と誤解をされている方がいらっしゃるようなので、あえて言わせていただきます。
「コレステロールが低すぎる人は重篤な肝疾患や栄養失調、悪性腫瘍(がん)が隠れていることが多く、要注意」なのは事実ですが、「コレステロールを下げると心血管イベント(心筋梗塞など)が減少する」というのは世界的にみて常識です。
ですから、「コレステロールを下げる薬を飲めば、コレステロールが下がり、心血管イベントが減少する」ので、「より健康に長生き」できます。
ただ、コレステロールを下げても、心血管イベントがほとんど減少しない人たちも多くいらっしゃいます。
それは閉経前の女性で、コレステロールが高い以外は特に危険因子(糖尿病、高血圧、喫煙、家族歴)を持たないかたがたです。
そういうかたがたは閉経前は内服する必要はありません。
それは女性ホルモンが血管壁の動脈硬化が起こるのを守ってくれるからです。
でも閉経後は男性と同様、コレステロール値を下げる必要があります。
コレステロールを下げるには食事療法、運動療法が中心となります。
食事療法のポイントは
①摂取するコレステロールを減らす
②夕食、夜食は軽めにすることです。
①はともかく②は何故大事かというと、実はみなさんの体の中でコレステロールは作られているのです。
しかもそれは9割がた夜に作られるのです。
ですから夕食、夜食で食べ過ぎてしまうと、消費できなかった栄養をもとに体の中でコレステロールを大量に作ってしまいます。
運動療法は週に3回、一回30分以上を継続することで善玉コレステロールの上昇および中性脂肪の低下が期待できます。
運動は全身を使った有酸素運動(ウォーキング、自転車、水泳など)がいいですが、まとまった時間が取れない場合は家事などで代用できます。
食事療法、運動療法を2,3ヶ月行っても充分に下がらない場合は薬物療法が必要になります。
シェアする